偽善の動物愛護団体。

テレビ番組でも取り上げられた団体。
実際は何も愛護してない。


■犬「殺処分ゼロ」でふるさと納税をかき集める「NPO」偽善の履歴書(下)




以下、記事全文
■犬「殺処分ゼロ」でふるさと納税をかき集める「NPO」偽善の履歴書(下)
 広島県神石高原町に所在地を置くNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が始めた「ピースワンコ・ジャパン」は、“県内の犬の殺処分ゼロ”を看板に掲げる団体である。その活動は日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」などメディアでも取り上げられ、人気バンドSEKAI NO OWARIは支援ソングを発表。神石高原町へのふるさと納税の形でもPWは活動資金を得ている。
 ところが、今年3月に30を超える動物愛護や福祉関係の団体がピースワンコの代表者ら宛てに公開質問状を提出。その内容は、「ゼロ」と謳っていながら52頭が殺処分されている点や、保護犬に不妊去勢手術を行わずに譲渡を行っている現状について質すものである。
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 質問状への回答によれば、ピースワンコの施設が収容する犬は1166頭で、不妊・去勢手術を施したのは27頭。また、施設での犬たちの暮らしぶりについて「犬の頭数に対してスタッフが少なすぎる」とピースワンコでのインターンを経験した女性は指摘する。
 調布市のつつじヶ丘動物病院の菅井龍院長は、
「一般論ですが、不妊手術をしていない1000頭以上の犬に対し、数十人で繁殖制限をするのは非常に難しいと思います」
 と、こう続ける。
「動物病院と愛護団体は一概に比較できませんが、目安にはなると思う。私たちの病院では獣医師や看護師以下、常時10〜12人で診療に当たっていますが、預かっている動物は多い時でも40匹を超えません。それでも日々の世話は大忙しです。1000頭もの施設をどんな体制で運営しているのか、興味深いですね」
 収容所の生き地獄が想像されるが、すでに別の問題も生じているそうで、横浜市のニュータウン動物愛護会の日向千絵代表が言う。
「ピースワンコには野犬だった犬が多く、すると脱走の危険があるのに、里親に譲渡するときも不妊・去勢手術をしません。ピースワンコは神奈川にも譲渡センターを設けましたが、私の耳に入っているだけでも東京と神奈川で計5匹、ピースワンコからの犬が脱走し、2匹は捜索願いが出されたまま。あそこの事業はどんどん施設を作り、広島の犬の置き場を全国に移しているだけだと思います」
 ちなみに、扱いきれない犬をピースワンコに戻すときには、15万円を添える必要があるのだそうだ。
■「世論をミスリードする」
 先に紹介した公開質問状に日向代表は名を連ねるが、同じく名を連ねる女優の杉本彩さんにも聞いた。
「不妊・去勢手術をせずに交配をコントロールするのは、あれだけの頭数がいれば常識的に無理。地震などの自然災害で犬舎や柵が壊れれば、多くの犬が野に放たれ、一気に繁殖が進みます。数字だけなら殺処分ゼロ達成は難しくありません。犬を生かしておけばいいのですから。しかし、その環境が見るに耐えかねるようなものなら、動物愛護ではない。SEKAI NO OWARIの協力を得て、『天才!志村どうぶつ園』に取り上げてもらうなど、広報活動は上手ですね。でも、セカオワの方々も動物を助けたいのでしょうが、このままでは世論をミスリードしてしまう。『志村どうぶつ園』にも、ピースワンコの主張をそのまま取り上げてはだめだと、訴えに行こうと思っていました」
 とまれ、こんな活動のために、ふるさと納税をした方々は、どんな感想をお持ちか。ふるさと納税について、一橋大学大学院経済学研究科の佐藤主光(もとひろ)教授は、
「NPO法人の活動資金に使われる場合、活動内容に問題があれば、自治体の責任が問われます」
 と言って、続ける。
「今回の件でいえば、動物愛護団体が犬に不妊手術をしないのは、重要かつ最低限のルールを守っていないことになる。また、殺処分ゼロが達成されていなかったとすれば、住民とふるさと納税の納税者に対し、自治体は正しい情報を伝えていないことになります」
 その点を神石高原町の入江嘉則町長に尋ねると、
「不妊・去勢手術って、基本的に飼い主の意思じゃないんですかね? 犬って生まれたら去勢とか避妊しなくてはいけないんですか? 僕、無知なんですけど」
 こりゃ、ダメだ。
■「ピースワンコ」の見解は…
 ピースワンコ・ジャパンの大西純子プロジェクトリーダーの話を聞こう。
「不妊・去勢手術にはメリットもあればデメリットもあって、メスは女性ホルモンの分泌が減って、筋肉や骨が弱ってしまう。オスはもともと“ビビリ”の子が多いのが、さらに臆病になってしまう。避妊は手術以外の方法でもできるし、私はそのほうが望ましいと考えています。健康な子にわざわざ手術を施す必要はないと思うんです」
 いきなり情緒論から始まった。安倍昭恵夫人の影響か、このごろは論理を超越した主張が流行っているのかしらん。とにかく、受胎調節によって頭数を制限するという、大局的な議論にならないのである。
「ペットショップだって不妊・去勢の判断は飼い主に委ねていますよね。ペットショップの犬だって、保護犬だって、同じ犬じゃないですか。いったいなにが違うって言うんです? だから私たちは、具体的には生理がきたメスを隔離することで、繁殖が起きないようにしているんです」
 ここで、東京都調布市のくるみ動物病院の武藤幸子院長の話を差しはさむと、
「愛護団体には、引きとり手がない犬を保護して新たな飼い主に渡すという明確な目的がある以上、無駄な命を増やしてはいけないのは当然の使命。自分が好きなように犬を飼えばよい個人とは、目的も立場も異なるのです。それに1000頭を超える犬を、たった数十人で不妊・去勢手術をせずに管理するなんて、絶対に不可能だと思います」
■増え続ける「収容所」
 だが、大西氏によれば、
「いま保護している頭数は約1250頭です」
 と、3月下旬の1166頭からさらに増えている。
「現在、譲渡率は30%ほどで、施設がパンクしないよう、岡山県にも新しい犬舎を作っています」
 ふるさと納税を使い、収容数を際限なく増やしているだけのような。だが、話を戻し、発情期の犬が凶暴になったりしないのかと問うと、大西氏は、
「普段からメスに接する機会が多いオスは、メスに生理が来たって急に暴れたりしません。人間だって共学の男子生徒と男子校の生徒では、男子校のほうが女子に会ったときドキドキしてしまうじゃないですか。それと一緒です。うちのオスたちは、生理のメスがいるからって、ストレスを感じている様子はないし、“ふーん、生理なんだ、でも僕はお散歩のほうが好きだもん”というオスは、たくさんいるんですよ」
 野犬あがりにしては、立派な御犬さまが多いらしい。ところで大西氏、
「殺処分ゼロを継続し、いまに至るのです」
 と言うので、その定義について尋ねると、
「殺処分器を使っての殺処分がゼロということ」
 と答えたが、現に処分は行われているのに身勝手な解釈である。それについては、厳格に説明すべきだという記者の問いに、
「わかりました」
 と神妙な面持ちで答えたが。「ゼロ」を看板に“血税”をかき集め、犬を増やしつづけるこの団体の目的はいずこに。HPには〈広島モデルを全国に拡大〉とあるが、それが偽善の全国展開にほかならないことだけは間違いない。
特集「『前田健太』『SEKAI NO OWARI』『志村けん』が広告塔! 犬『殺処分ゼロ』でふるさと納税をかき集める『NPO』偽善の履歴書」より
「週刊新潮」2017年5月18日菖蒲月増大号 掲載

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